午前6時の大時計の下
ジャズドラマーが くの字にぶったおれている
ねえ、君ここはどこですか
ここはぼくの肝臓です
朝が真赤に腫れあがっている
空が落ちて来る
女は恋をしているので
カニの言葉でぼくに話しかける
ずっとあなたを待っていました
私の犬を食べてください
女はチーズになりたがっている
空が落ちて来る
ああ、夏はコインロッカーからやって来て
ぼくの腕に痛い予防注射をする
けたたましく警笛を鳴らしなさい
みんなに居所を知らせなさい
自動車に踏み潰されたぼくの足
空が落ちて来る
その昔男は空に腰掛けて
楽しそうに町並みを眺めて暮らしていた
歩く夜道が重たくて
また飲み明かしてしまいましたよ
男はひとり誰もいなくなった空を 見上げている
空が落ちて来る
顔の真ん中でくるくると
女がひとり踊ります
踊る女は黒装束
思い出の形をしています
ああ この痛さがぼくの言葉です
空が落ちて 来る