いつものこと 電車は満員
そして いつものこと 若者が坐わり
年寄りが 立っていた
うつむいていた娘 年寄りに席をゆずる
礼もいわずに 年寄りは 次の駅で降りた
娘は座った が また 別の年寄りが
娘の前に 娘の 前 に
娘はうつむいた が ま た
年寄りに席をゆずる
年寄りはお礼をいって 次の駅で降りた
娘は坐った 二度あることは 三度という通り
別の年寄りが
娘の 前 に
かわいそうに娘
うつむい て うつむいたまま
席をゆずらず 次の駅も 次の 駅も
口唇をかみしめ
つらい気持ちで
娘は どこまで
どこまで行くのだろう
口唇をかみしめ
つらい気持ちで
やさしい心に責められながら
美しい夕焼けもみないで
口唇をかみしめ
つらい気持ちで
美しい夕焼けもみないで