冷 たい雨が降っている
冷たい雨が降って いる
指 をふるわせ髪を氷らせ
冷たい雨が降 って いる
どの位歩いただろう
海岸線の縁 取り を背に
夏 色の船が岬へ沈むのを
君と 見たよね
好きでも無いし嫌いでも無い
ぼくたち 見知らぬ他人の よ うだ
ね ぇ 貝殻になりたいね
海の深くで眠り たい
殻 が守ってくれる だろう
ねぇ 貝殻にな りた いね
君は少女の詩
ぼくのひざには 男の詩集
君 は言葉のナイフを深々と
胸に 刺したね
好きでも無いし嫌いでも無い
心が痛いよ 楽に して くれ
9月 の海に雨が降る
波と雨とが入れ替 わり
空 と海とが溶けあって
9月の海に 雨が 降る
ぼくがいまこのまま
荒れくるう海に抜 き手 きったら
君 はこのボート小屋から 「 素敵よ 」 って
声を かけてよ
好きでも無いし嫌いでも無い
フルだけフリなよ フラれ てや るさ
冷 たい雨が降っている
冷たい雨が降って いる
こ の世界中びしょぬれにして
冷たい雨が降 って いる