君は坂道を登ってゆく 僕は坂道を下りてゆく
すれ違い坂は 春の名残りに 木蓮の香り降る 夕暮れ
薄墨の中に沈みゆく愛を 涙と交互に掘り起こせば
出逢うのはいつも あたたかな嘘と わずかばかりの 夢の切れはし
やさしさ故に傷ついて やさしさ故に傷つけて
君は振り返る弱さもなく 僕は引き止める強さもなく
ただ立ち尽くせば 背中合わせに おだやかに落ちてゆく二人
君は忘れ去る強さもなく 僕は思い出す弱さもなく
ただ音もたてず 時の流れに ふりつもる さびしさの気配
倒れゆく愛の光と影から こぼれた真実を抱き起こせば
哀しみは つまり風に追われては 枯葉がくり返す吹き溜り
やさしさ故に傷ついて やさしさ故に傷つけて
君は坂道を登ってゆく 僕は坂道を下りてゆく
すれ違い坂は 春の名残りに 木蓮の香り降る 夕暮れ















































